パターソン|11月|12Months Movie

映画『パターソン 』イラストコラム|感想

映画好きイラストレーター3人で、その月に合わせたモチーフが印象的な映画を紹介するnote 12Months Movie を運営しています。 11月のモチーフ『ベンチ』で、私がピックアップした映画は、ベンチで詩を書く時間に没頭する『パターソン』です。

pick up Movie

  • 『パターソン』yuki
  • 『ファイティング・ファミリー』Eika
  • 『来る』丸ゐまん丸

12Months Movie『ベンチが印象的な映画』はこちら

作品情報

パターソン

原題:Paterson
公開:(製作国)2016年|(日本)2017年
監督:ジム・ジャームッシュ
脚本:ジム・ジャームッシュ
出演: アダム・ドライバー:パターソン
ゴルシフテ・ファラハニ:ローラ
ネリー:マーヴィン

あらすじ

ニュージャージー州”パターソン”に住む、街と同じ名前の”パターソン”(アダム・ドライバー)。毎朝、最愛の妻・ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)の隣で目を覚まし、日中は毎日同じルートを走るバスの運転手として働き、空いた時間や、いつもお決まりの『ベンチ』でローラが作ってくれたお弁当を食べながら、自分だけの秘密のノートに詩を書くのが趣味だった。 一方、妻のローラは、家中をペイントをしたり、ギターやマフィン作りなどの新しい趣味を始めて、いつか自分の才能で有名になれるのでは?と毎日に変化をつけて楽しんでいた。そんなタイプの異なる2人の7日間の日常の物語ー。

何か特別なことが起こるわけでもないのにクセになる、ジム・ジャームッシュ監督らしい、いわゆる『オフ・ビート』な作品なんですが、2人の名もなきアーティストの日常を、クスッとさせてくれるユーモアいっぱいに描いた、ゆるくて大好きな映画です!

妻はパターソンの詩が素晴らしいから他人に読んでもらいたいし、評価されるべきだと思ってるのに、パターソンは自分の詩をどこにも発表するつもりはないし、妻にコピーを取れと言われてもなかなか気が進まない。

一見、自己主張の少ないパターソンですが、心に留めた想いは全て『詩』で吐き出していて、言葉で自分を世の中に示すつもりもないし、世の中を変えるつもりもない。

SNSの登場によって、自分を表現することが当たり前になった世の中だけど、パターソンみたいに自分をアーティストだと思っていない”潜在的アーティスト(?)”の方もまだまだ沢山いるのでは?と思っているのですが、ローラと同じく《才能が勿体無い!》という思いもあるけれど、自分の絶対的な価値観を、自分で肯定できるっていうのも素敵だなと思います。

また、このご時世で自由に色々なことができなくなって、同じ日常の繰り返しが息苦しく感じることもありますが、この映画のように、毎日同じ『ベンチ』に座っているだけで、新しい出会いや気づきがある日もある。

あまり変わらない日常を、いつもよりちょっと大切に思えて、誰に認められなくても、自分で自分を前よりちょっと好きになれる、そんなちょっとだけ生きるのが楽しくなるような映画です。