映画『浅田家!』ネタバレ感想|泣き映画なだけじゃない!自分探しの物語

映画『浅田家!』ネタバレ感想|泣き映画なだけじゃない!自分探しの物語|映画イラスト

「浅田家」の写真集は、話題だった頃、ちょうど私も写真が趣味だったので、本屋さんやカメラ屋さんで何度も目にしていたのですが、今回の映画のポスターを観て、『浅田家!』ってあの写真集の浅田家…?コスプレをする家族のコメディ???と思っていたら、予告がヒューマンドラマでびっくりしました。

浅田政志さんのことは写真集以外全然知らなかったのですが、『湯を沸かすほどの熱い愛(2016)』の中野監督作品である、ということと、浅田政志さんの半生が気になったので観に行ってきました。

この映画は東日本大震災のエピソードが含まれるのですが、予告を観て、感動ポルノみたいな映画になりかねない気もして、センシティブな部分をどう描くのか少し不安もあったのですが、家族や人との関わりを通じて主人公の政志が「自分」を見つける物語が主軸になっていて、泣かされるシーンの押し付けという感じではなく、ほっこりとあったかい涙が自然に出てくるような映画でした。

キャスティングがとても良くって、ニノと妻夫木くんが兄弟役を演じているのですが、こういう兄弟いそうだな〜と微笑ましくなりますし、黒木華ちゃんが夢追い人を支える幼馴染の若菜ちゃんを演じているのですが、若菜ちゃん側からのエピソードも別で作って欲しいくらい魅力的なキャラクターでした。

洋画の超大作も大好きですが、家族や人の繋がりの物語は、邦画だとより身近で共感度が高いですね。

ぜひ、大切な人と一緒に観て欲しい映画です。

この記事は『浅田家!』のネタバレを含んでおりますので、まだ鑑賞されてない方はご注意ください。

作品情報

浅田家!

上映時間:127分
公開:2020年10月2日
監督・脚本:中野量太
原案:浅田政志
キャスト:
二宮和也 (浅田政志)
妻夫木聡 (兄:浅田幸宏)
風吹ジュン (母:浅田順子)
平田満 (父:浅田章)
黒木華 (幼馴染:川上若菜)

映画『浅田家!』あらすじ

幼いころ、写真好きの父からカメラを譲ってもらった政志(二宮和也)は、昔から写真を撮るのが大好きだった。そんな彼が、家族全員を巻き込んで、消防士、レーサー、ヒーロー、大食い選手権……。それぞれが“なりたかった職業”“やってみたかったこと”をテーマにコスプレし、その姿を撮影したユニークすぎる《家族写真》が、なんと写真界の芥川賞・木村伊兵衛写真賞を受賞! 受賞をきっかけに日本中の家族から撮影依頼を受け、写真家としてようやく軌道に乗り始めたとき、東日本大震災が起こる―― 。
引用:ストーリー|映画『浅田家!』公式サイト

映画『浅田家!』スタッフ

監督・脚本:中野量太

『湯を沸かすほどの熱い愛』『長いお別れ』などを手がけた中野量太監督作品。私は『湯を沸かすほどの熱い愛』がすごく好きなので、『浅田家!』は中野監督だから観に行こうと思いました。『湯を〜』でも、人間の感情描写がとてもしっかり描かれていて、自分とは全然違う性格の登場人物でも感情移入できる作品を作られる印象がある監督さんなのですが、『浅田家!』もストーリー以上に登場人物が良いところも悪いところも魅力的で、すごく良かったです。

脚本は王道というか、ラストや、莉子ちゃんのお父さんの話など、展開は読めてしまうのですが、それでも1人1人の感情の動きが丁寧なので、自然と涙が出てくるストーリーでした。

音楽:渡邊崇

『チチを撮りに』『湯を沸かすほどの熱い愛』『長いお別れ』でも中野量太監督とタッグを組まれているようです。『舟を編む』『帝一の國』『his』など、様々なジャンルの映画の音楽を手がけられているようです。『his』も良かったなぁ〜。レンタルが始まったら音楽にも注目して見返したいです。

映画『浅田家!』キャスト・登場人物

浅田政志 (二宮和也)

浅田家の次男。写真が好きな父の影響でカメラを始め、写真の専門学校に通って勉強を始めるが、自分らしい撮りたいものが見つからない政志は、まともに授業に出ておらず卒業が危ぶまれる。そこで政志が撮りたいと気づいたのは、家族写真だった。

浅田政志さんの半生を描いた実写ベースのストーリーで、幼少期は子役が演じていますが、高校生くらいから二宮和也さんが演じています。ニノももう37歳…童顔といえど、流石に高校生役はきついだろう…と思ってたけど、割と受け入れられる高校生役でした。笑 その後、20代のシーンが2年おきくらいで出てくるのですが、その年代に合わせて色々な髪型のニノが見れるのはファンなら嬉しいはず。腐りきったロン毛時代が逆に良かったです^^笑

ニノはマイペースな政志の役がすごくハマっているなと思いました。他人から見たらチャランポランなだけに見えても、ずっと自分だけの何かを探し続けてる。焦ってはいるんだけど、譲れない物がある気持ちが伝わって応援したくなるキャラクターでした。

兄:浅田幸宏 (妻夫木聡)

浅田家の長男。政志とは逆で真面目な性格。マイペースな政志に振り回され、浅田家の家族写真の本格的すぎるコスプレは、兄が頑張って交渉を重ねたおかげだったのには笑った。小さい頃に家族の中心は政志だと気づいてしまって、やるせないこともあったんじゃないかと思ったけど、口うるさくも家族のことを気遣ういい兄ちゃん。

なんとなく雰囲気的にもニノと妻夫木くんが兄弟っていうのがハマっているなと思いました。

若い頃なら、妻夫木くんが政志の役でもハマりそうだなと思ったんだけど、振り回されている姿、とても良かったな〜。笑 妻夫木くんは主役としても魅力的だけど、脇役で嫌な役も良い役も、味があるキャラクターに演じていて、どんどん好きになります。

母:浅田順子 (風吹ジュン)

浅田家の母。夢だった看護師として忙しく働いており、家事は夫に任せている。政志が入れ墨を入れようが、近所でフラフラしていようが、政志の道は自分で決めたら良いとドシっと構えている。

卒業制作の病院の写真、角度とか、風吹さんがダントツ本物の写真にそっくりでした。笑 他の写真も並べて欲しかったな。

政志が家族を信頼させるものを潜在的に持っているっていうのはもちろんあるけど、何をしていても信頼していてくれる人がいるっていうのは安心感が全然違うと思う。政志が政志のペースでいられたのはお母さんのおかげが強いと感じました。

父:浅田章 (平田満)

浅田家の父。写真が趣味で毎年年賀状用に兄弟の写真を撮るの楽しみにしてる。忙しい妻に変わって仕事を辞めて家事をこなすが、将来は消防士になりたいと夢見たこともある。

父あっての浅田家。浅田政志さんは1979年生まれなので、この時代に専業主夫はかなり前衛的だったと思う。近所の子に「うちのお父さんは仕事してるからお菓子なんて作ってもらえない。」と言われてるシーン。実際はもっと色々なことを言われただろうな。それでも家族を支えるために最良のことを考えてくれる、すごく素敵なお父さんでした。元気でいてくれればそれでいいという感じが、自分の母を思い出して胸がギュッとなりました。

幼馴染:川上若菜 (黒木華)

政志の幼馴染。小学生の頃に政志と両思いになり、大人になってもふわふわした関係が続く。だけど陰ながら政志を応援し続けている。

若菜ちゃんが本当に良かった!!政志、もっと若菜ちゃんを大切にしてあげて〜〜!と、思うところがいっぱいあるんだけど、がっつり若菜ちゃんの話になってしまうと恋愛恋愛したストーリーになってしまうので、あくまでも家族の話をメインにしてくれて良かった。

若菜ちゃんの逆プロポーズ。とても可愛かったな。笑 実際、浅田政志さんの返事はあんな感じだったのだろうか?笑 やたらキラキラしたプロポーズシーンよりも、二人の温度感がわかって微笑ましいシーンでした。

その他

しれっとモブみたいな役で菅田将暉くんが出てきたのはびっくりした。TVドラマ『リッチマン、プアウーマン』での菅田くんみたいな役だったんだけど、私は怒鳴ったりしてる役よりこういう役の菅田くんが好きです。東日本大震災で東北に住む友達を探しに来て、そのままボランティアを行う青年の役なんですが、善意に正解ってないので、自分がやってることが果たして正しいことなのか揺れ動くシーンは、菅田くんの持ち味がとても出ていてすごく良かったです。

映画『浅田家!』ネタバレあり感想

冒頭に持って来たお父さんは亡くなられた…という描写を、まさかのコメディにしてくるというラスト。笑
このラストに関しては、少し賛否両論ありそうかなと思いましたが、全体的にコテコテの感動作として仕上げず、あくまでコメディですという空気はすごく好きでした。

私は少しひねくれてるので、「家族っていいよね!」「家族だから繋がってる!」っていうのを押し付けてくる映画だと、<ふ〜ん>ってなっちゃっうこともあるのですが、『浅田家!』は「政志」の自分探しの物語で、その影には「家族」がいた。という見せ方がとても好みでした。

一応クリエイターの端くれの私としては、政志の自分探しの旅を観て、有名になることが目標にするんじゃなくて、『自分じゃなきゃできないこと』を見つけたいなと思いました。夢を追って迷っている20代のクリエイターの方々にもおすすめな映画だと思います。

いいところも悪いところも魅力的なキャラクターたちの、ささやかながらも、懐が深い物語。たまには自分から親に連絡してみようかな。と思える映画。温かな気持ちになりたい時にオススメの作品です。