映画『ある画家の数奇な運命』見所・感想|芸術を通して見えてくる「真実」とは?

映画『ある画家の数奇な運命』見所・感想|芸術を通して見えてくる「真実」とは?|映画イラスト

幼い頃から叔母のエリザベトに美術館に連れて行ってもらったり絵を描いたりと、美術の才能を育んでいたクルト。ナチス政権下のドイツでは精神病を患った方を安楽死させるという政策が行われており、親しくしていたエリザベトが心を病んで精神病棟へ強制入院させられてしまい、あまりにも残酷な叔母との別れが幼いクルトを襲う。

「目をそらさないで。真実はすべて美しい」

エリザベトが残した言葉を軸に、クルトが目指す「真実」とは?ー

幼少期のクルトはほとんど喋らず、前半は基本的に他の登場人物が主軸に物語が進んでいき、彼がどんな運命に巻き込まれてしまうのか、その人生自体がミステリー調に描かれる、現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルに、ある画家の半生を描く物語。

作品情報

ある画家の数奇な運命

原題:Werk ohne Autor(英語表記:Never Look Away)
上映時間:188分
公開:2018年|日本:2020年
監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
音楽:マックス・リヒター
撮影:キャレブ・デシャネル
キャスト:
クルト・バーナート: トム・シリング
カール・ゼーバント教授: セバスチャン・コッホ
エリー・ゼーバント: パウラ・ベーア
エリザベト・マイ: ザスキア・ローゼンダール

映画『ある画家の数奇な運命』あらすじ

ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋におちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気づかぬまま二人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。美術学校の教授から作品を全否定され、もがき苦しみながらも、魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続けるクルトだったが―。
引用:映画『ある画家の数奇な運命』公式サイト

映画『ある画家の数奇な運命』スタッフ

監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク

ドイツとオーストラリアで映画監督・脚本家。初めての長編映画『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞。私は観ていない作品なのですが、『ある画家の数奇な運命』がすごく良かったので、早く初監督作品も観なくては〜!と思っています!

また、アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップ主演の映画『ツーリスト』も監督・脚本を手がけられています。

撮影:キャレブ・デシャネル

とにかく映像が繊細で美しい映画だったので、どんな方が撮影されているのか調べたところ、最近だと『ライオン・キング』の超実写版や、『私の中のあなた』や『ナショナル・トレジャー』などを幅広いジャンルの映画の撮影されているキャレブ・デシャネルさんが撮影されていました。

この方、なんとエミリー・デシャネルとズーイー・デシャネルのお父様なんですね!!なんて才能溢れる芸能一家なんだ…!

映画『ある画家の数奇な運命』見所・感想

ぶっちゃけ前半を実際見ている最中は、《前置き長すぎない?3時間もいらなくない?(←失礼w)》と思っていたんですが、パズルを別々のところで少しずつ組み立てて、だんだんクルトという人間が見えて来たと思ったら、後半で一気にパズルが完成するというシナリオになっていて、とっても面白かったです!(完全に3時間必要でした!笑)

現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルにしている映画なのですが、登場人物の名前や出来事を実際とは変えているそうで、どこまで真実なのかわからないように構成しているのが物語の内容と合間って、見終えた後に余韻が残る映画でした。

絵画を扱っている映画の楽しみの一つでもあるんですが、ため息が出るほど映像が美しかったです。
クルトが出会って一目惚れする女性・エリーは、ファッション専攻の学生さんなのですが、50sあたりのヨーロッパのファッションがとてもお洒落だし、ラブストーリーという面でも楽しめる映画なのですが、濡れ場がそれなりに多いのに絵画のように美しくて、個人的にはエロさを感じないほど。
ラブストーリーとミステリー要素とのバランスが絶妙で、どちらも飽きさせずに小出しにしてくる感じが個人的とても好きな構成でした。

色々書こうかなと思ったのですが、クルトがどんな人生を歩んで「真実」へ向かっていくのか、ぜひ、結末のネタバレを見る前に映画を観て欲しい!

私は今年ベスト10には多分入れると思う作品なのですが、公開していた劇場が少なくて、期間も短くって、すごく勿体無い!!まだ観れる劇場があったらぜひ劇場で観て欲しい映画です。(3時間って家だと長いし。笑)