映画『羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~』感想|素晴らしい作画と心温まる成長の物語

映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ~ぼくが選ぶ未来~』感想|映画イラスト

2019年公開時、好きなアニメーターさんや映画好きの方がこぞって「作画がすごい!」「面白い!!」とツイートしていて話題だった『羅小黒戦記』。気づいた頃には上映回数が少なくなっていて、週末は毎回のように満員続きで観ることができない状況に…。3月か4月に行われる予定だった特別上映も、このご時世で映画館の休館によって観ることができず悔しい思いをしていたら、日本語吹替版が制作されることとなり、ついについに観ることができました!

作品情報

羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ~ぼくが選ぶ未来~

原題:罗小黑战记
上映時間:101分
公開:2019年|(吹替版:2020年)
監督:MTJJ
脚本:MTJJ|彭可欣|風息神泪
音響監督:皇貞季|(吹替版:岩浪美和)
音楽:孫玉鏡
作画監督:馮志爽|李根|周達炜|程暁榕|鄭立剛
美術監督:潘婧
制作会社:北京寒木春華動画技術有限公司
キャスト:声(中国|日本)
シャオヘイ(山新|花澤香菜)
ムゲン(劉明月|宮野真守)
フーシー(郝祥海|櫻井孝宏)

映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』あらすじ

森で暮らす黒猫の妖精・小黒(シャオヘイ)。人間たちの手によって静かに暮らしていた森が破壊され、街や村を世迷いながら居場所のない日々を過ごしていた。ある日、人間に襲われるシャオヘイの前に、同じ妖精の風息(フーシー)が現れ、仲間に引き入れて美味しいご飯と温かな寝床を与えてくれる。また、自分の居場所を見つけて静かに暮らせると思った矢先、無限(ムゲン)という人間に襲われ、シャオヘイはフーシーたちと引き裂かれてしまうのだったー。

映画『羅小黒戦記』見所・感想

タイトルが漢字でピンと来ませんが、『ロシャオヘイセンキ』と読みます。説明はなかったけど、多分、『羅 小黒(ロ・シャオヘイ)』というのがフルネームで、シャオヘイの戦記です。

キービジュアルがファンタジー感もりもりなのですが、ファンタジーと現代社会がリンクしているお話(スマホも出てくる!)で、大人から子供まで、幅広く楽しめるアニメ映画だと思います。他の作品と比べるのもな〜とは思いますが、『平成狸合戦ぽんぽこ』+『もののけ姫』に、『僕のヒーローアカデミア』や『NARUTO -ナルト-』みたいな異能アクションがプラスされたような、『ジブリ』と『ジャンプ』の共演みたいな贅沢すぎるアニメなんです! あのアニメっぽい!というところは他にも沢山あるんですが、良いところを吸収して、きちんと『羅小黒戦記』のオリジナルになっていて、子供の頃からアニメを観ている日本人は、きっと好きな映画だと思います。

日本人には馴染みのあるような可愛らしい絵のタッチからは想像もできないくらい俊敏なアクション作画は本当に圧倒されます!! 私、アクションシーンは繰り返されると少し飽きてしまうのですが(ラッシュが続くと話が進まなくて眠くなるんですよねぇ〜。笑)、中国のカンフーの動きがカメラワークになったような、ものすごい速さで絵が切り替わって、こんな角度から戦ってるシーン観たことないぞ!!と全く飽きのこないアクション作画!ワクワクとドキドキが止まりませんでした!

アクションの動きに圧倒されながらも、急に止まってクスッと笑えるコミカルなシーンを入れ込む『間』が、これまたとても良かったです!キャラクターの性格が、小さな動きを追加することで表現されていて見せ方がとても細かい。私は言葉にすることだけがわかりやすさではないと思っているので、アニメーションで観る価値・広がりがあってとても好きでした。

『静』と『動』。どちらが『良い』と言い切ることは難しくて、両方を知ることで世界の見え方が変わっていく。それをストーリーとアニメーションの両方で表現しているって、すごい演出。本当に圧倒されました。

子供のころ、『もののけ姫』を映画館で観て、全てを理解できてはいなかったけど、『正義』と『悪』と一言では言い切れないものがあることを知って、それが大人になってもずっと心に残っているのですが、世界が揺らぐ今だからこそ、エンターテイメントを通して、自分は何を選ぶのかを考える機会をつくることは、とても大切なことだと思います。大人も子供も観て欲しい物語です。

中国・北京の寒木春華スタジオのMJTT監督が制作して2011年に公開されたWEBアニメが中国で大ヒットして、そのWEBアニメの前日譚のお話になっているそうです。WEBアニメはYouTubeでも見れて、字幕ボタンを押すと日本語字幕も出せるっぽい(1話しかチェックしてませんが。)ので、こちらもチェックしたい!!舞台挨拶でMTJJ監督のコメントで新作映画も考えてるとおっしゃっていたので、これからも目が離せません!

パンフレット読んでいたら、美術監督の潘婧さんが、「作品に参加する前はチームの大多数のスタッフと同じように、学校を卒業したばかりで、美術の仕事の経験は全然なかった」とコメントされていてビックリ!すごい。欧米は3Dアニメが増える中、2Dのアニメーションを作るクリエイターが、これからも世界に増えていったらとても素晴らしいなぁと、いちアニメーションファンとして嬉しく思いました。

住むところを失った妖精のシャオヘイが、同じ妖精のフーシー、人間のムゲンと出会って、自分が生きていく場所をどうやって選んでいくか、そんな普遍的でありながら誰の心にも響くストーリーと、圧倒的に素晴らしい作画。ぜひ劇場で観て欲しい映画です!

ここからは『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ~ぼくが選ぶ未来~』のネタバレを含んでおりますので、まだ鑑賞されてない方はご注意ください。

映画『羅小黒戦記』登場人物・キャストの魅力

声(中国|日本)

シャオヘイ(山新|花澤香菜)

6歳の黒猫の妖精。まだ人間のような姿に変身することに慣れておらず、耳やしっぽが隠せていない。美味しい食べ物を見ると目を輝かせてよだれを垂らす、元気いっぱいで好奇心旺盛な性格。シャオヘイと一緒にいる小さい方はヘイシュウという名前。

最初に黒猫のヴィジュアルを見た時はちょっと目が大きすぎるなぁと思ったんですが、アニメーションになると動きが本当に可愛い!!子猫とおもちゃで遊んでる時みたいな感情が湧き上がって、映画を見ている最中、顔がニヤケまくりでした。笑 人間バージョンのシャオヘイもとっても愛らしい!桃を食べたそうな表情から目がキラーーーン!ってなるところ、めちゃくちゃ可愛かったですし、涙をボロボロ流すシーンは、千と千尋の千が泣いているシーンみたいな描き方で、思わずもらい泣きしそうでした。

子猫らしい小さな動きが合間合間に描かれているので、シャオヘイがまだ純粋・無垢な子供であるというのが、言葉で説明しなくても伝わってきました。自分の能力をまだわかっておらず、世の中がどうなっているかもわからない。そんなシャオヘイが、人との出会いによって自分の中で仲間だと思っていたものが、本当に正しいことをしているのか?という疑問に直面し、世の中の未来を変えてしまう大きな事件に巻き込まれていく。キャラクター設定がしっかりした作品なので、成長していくシャオヘイに感情移入が半端なかったです。

花澤香菜ちゃんの声がぴったり合っていて、ラストの『しーーーーしょーーーー』と叫んで抱きつくシーン!キューンと胸を鷲掴みにされました。顔を埋めてピッタリ離さない姿を思い出すとじわっと目頭が熱くなります。居場所が見つかってよかった…!

ムゲン(劉明月|宮野真守)

人間と妖精の均衡を保つため、悪さをする妖精たちを取り締まる「最強の執行人」として働いている人間。100年以上生きているらしい(人間なのに?笑)。

最初はクールで非情なキャラクターのように登場するのですが、スマホを水没させちゃったり、シャオヘイには食べ物を粗末にするな的なことを言っておいて、不味くて自分も吐き出してしまったりと、知っていくうちに人間らしさが見えてくるキャラクターでした。 

舞台挨拶でシャオヘイ役の花澤香菜ちゃんも好きと言っていたシーンですが、ムゲンがシャオヘイの服を掴んで離した後に、着崩れを直す仕草があるんですが、無口だけど実は優しい人、というのがその動きで伝わってきて、私もとても好きなシーンでした。こういう細かい動作で、『善』『悪』は一面だけではわからないということを、シャオヘイと一緒になって感じて行けるところがこの映画の魅力だと思います。

何よりcv:宮野真守 最高でしたね!私はまだオリジナルを聴けていないのですが、舞台挨拶でマモちゃんは、中国版の劉明月さんと声が似ていて演技しやすかったとおっしゃってました。マモちゃんのふざけた役も好きなんですが、信念を秘めてる感じの役の声が大好きです!

フーシー(郝祥海|櫻井孝宏)

街角で人間に襲われていたシャオヘイを助け、自分たちの隠れ家へ連れていってくれた妖精。仲間たちに慕われ、良きリーダー。人間嫌いでムゲンとは敵対しており、ムゲンに襲われ、シャオヘイと離れ離れになってしまう。

シャオヘイを救ってくれた仲間として登場するフーシーですが、行動がだんだんとわかってきて、妖精の世界を壊した人間を嫌っており、妖精の居場所を取り戻すためにシャオヘイの能力を狙っていた。でも、フーシーの優しさや人望、信念はきちんと前半で見せてくれるので、彼の行動の全てが悪だとは思えないんですよね。シャオヘイの力を借りたかったことは確かだけど、最初からシャオヘイを騙して傷つけたいなんて思ってない。妖精のために、人間から居場所を取り戻したい。という思いが強すぎて、状況が悪化してダーティーな行動に出てしまう…。もうちょっと早い段階できちんと語り合えたら結末は違っただろうに…。

あんなに苦しんで戦っている櫻井さんの役って最近少ない気がして、めちゃくちゃ良かったです。笑 結末を知って改めて前半のフーシーをもう一度観たいと思いました。

その他

その他の仲間たちを演じる俳優陣もめちゃくちゃ豪華でした!松岡禎丞さん、斉藤壮馬さん、杉田智和さん、水瀬いのりちゃん、豊崎愛生ちゃんという全員主役級に、チョーさんと大塚芳忠さんという大御所が脇を固める、今後シリーズ化されることに期待しかない神キャスティング!個人的にいのりちゃんが演じているナタというキャラクターが好きでした。何も活躍しないんだけど。笑 エンドロール見て、杉田さんどれだったんだろうと思ったら、あんまり喋らなかった虎の役でした。笑 改めて聞きたい。何回も見たい!!

映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』おわりに

とても好きな世界観・キャラクターたちに、素晴らしいアニメーションで、思いの丈を語るにはまだ見足りない!何度か映画館に足を運んで、円盤出たら何度も観て、良いところにもっと気づきたい。久しぶりにそう思える劇場アニメに出会えてとっても嬉しかったです。何度も同じことしか言えませんが(笑)、こんなに圧倒されるアクション作画を映画館で観ないのは勿体無い!ぜひ、劇場で観て欲しいオススメの映画です。