映画『ハッピー・オールド・イヤー』感想

映画『ハッピー・オールド・イヤー』感想|心は簡単に断捨離できない!タイのエモーショナルな映画
画像引用元:©2019 GDH 559 Co., Ltd.

タイ映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の制作スタジオGDH559が、再びチュティモン・ジョンジャルーンスックジンを主演に迎えて制作した映画、『HAPPY OLD YEAR ハッピー・オールド・イヤー』がついに日本公開!

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』はレンタルになってから観たのですが、めちゃくちゃ面白くってタイの映画に興味津々なのですが、まだまだ日本でタイの映画を観る機会は少ないので、『ハッピー・オールド・イヤー』が公開と知って楽しみにしていました!

映画業界のことはわからないけど、タイやアジアの映画を日本で公開するのは、きっと色々な難関があるのでしょう。だからこそ、沢山の壁を乗り越えて公開される映画って、やっぱりパワーがすごい!!いや〜観れて良かった!配給の方々に感謝しかないですね!

作品情報

HAPPY OLD YEAR ハッピー・オールド・イヤー

上映時間:113分
公開:2019年|日本:2020年
監督&脚本:ナワポン・タムロンラタナリット
音楽:ジャイテープ・ラールンジャイ
撮影:ニラモン・ロス
衣装:パッチャリン・スラワッタナーポーン
キャスト:
ジーン役(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)
エム役(サニー・スワンメーターノン)
ミー役(サリカー・サートシンスパー)
ジェー役(ティラワット・ゴーサワン)
ピンク役(パッキャー・キットチャイジャルーン)
ジーンとジェーの母役(アパシリ・チャンタラッサミー)

映画『ハッピー・オールド・イヤー』あらすじ

スウェーデンに留学後、タイのバンコクに帰国したデザイナーのジーンは、北欧で“ミニマルスタイル”に感化され、自宅をミニマルでスタイリッシュなデザイン事務所にリフォームしようと思い立つ。猛反対の母をよそに、家中を片っ端から“断捨離”し始めるジーンだったが…

映画『ハッピー・オールド・イヤー』見所・感想(ネタバレなし)

片付けコンサルタント・こんまりさんの“ときめくかどうかで残すものを決める”という断捨離のメソッドにも影響された主人公のジーンが、心を無にして断捨離を始めるんですが、ふと立ち止まると、1つ1つのモノに自分の思い出だけじゃなくて、他人の思い出も宿っていることに気がついちゃうんです。

そこから、何を捨てて、何を取っておくのか。自分の過去と、今と向き合いながら、本当の自分を見つめ直す。そんなエモーショナルな映画でした。

観る前はポップで可愛いポスターだったので、アップテンポな映画かと思っていたのですが、いい意味で裏切られました!シニカルな笑いもありつつ、過去の心の傷をえぐってくる…。

もしかしたら、主人公のジーンのことがあんまり好きじゃない人もいるかもしれない。信念が強そうでいて、影響されやすくて、人と向き合うことから逃げてしまう…。そんな映画の主人公っぽくない主人公が、自分自身の嫌いな所にそっくりで(笑)、私にはかなりグサグサ刺さりました。

ちょっと嫌なやつでもあるんだけど、それでも憎めなくて、共感できる。そんなジーンの役を、チュティモン・ジョンジャルーンスックジンがナチュラルに演じていて、すごい役者さんだなぁと思いました。

また、一昨年バンコクに旅行したのですが、日本かと思うくらい日系企業のデパートが立ち並ぶきらびやかなエリアと、寺院などが並ぶ伝統的なエリアとの差がとても面白かったのですが、そんなタイの新しい部分と、ノスタルジックな部分が入り混じった感じが映像でも観れて面白かったです!インテリアもとってもお洒落で素敵でした!

目を背けている過去や、未来と向き合えない人におすすめしたい映画。年末年始の大掃除ムービーとしてもぴったりだと思います!

映画『ハッピー・オールド・イヤー』の評価
ストーリー
(4.0)
映像
(4.0)
ファッション
(3.5)
音楽
(3.0)
満足度
(4.0)

ここからは『ハッピー・オールド・イヤー』のネタバレを含んでおりますので、まだ鑑賞されてない方はご注意ください。

映画『ハッピー・オールド・イヤー』ネタバレあり感想

こんなにエモーショナルな映画とは想像してなかったので、グサグサ刺されてかなりヒリヒリしましたが、私はめちゃくちゃ好きな映画でした!

『ゴミ袋は偉大よ。自分が何を投げ込んだか忘れさせてくれる。』

そう言いながらジーンは、成績表やら思い出の品に思いを馳せないようにして、ポイポイとゴミ袋に入れていく。…まさにそうやって生きてきたんだろうな。本当は弱いのに強いふりして生きるには、今の自分に必要無いモノから目を背けないと前に進めないから。

私も、漫画とかスニーカーとかお菓子とか、自分の好きなモノが、よく考えたら元彼が好きだったものだと言うことに気づいてしまったことがあって、知らず知らずのうちに影響されていたことに驚いたことがある。あの頃に戻りたいなんてそんな簡単な感情ではなくて、あの時、切り捨ててしまった過去が、自分を作っているかけがえのない存在だと気づく。

だからといって、自分を作ってきた全てを大切にしていたら、どこへも進めなくなってしまう。ジーンのお母さんが、もう出て行ってしまった旦那が残したピアノにすがっているというのがその象徴になっていて、簡単に手放しても、一生懸命すがりついても、思い通りにならないなんて、人生ってなんて難しいんだろう。人の心は“ときめき”で測れるほどシンプルじゃない。

モノを捨てたり、返したりと、減らすつもりで行動しているのに、いつの間にかいろんなモノや思いが増えていくジーンが、揺れ動きながらも目的を思い出して、をちゃんともがいて選んでいく姿はとても共感できました。

果たして、ジーンのミニマリスト計画は正解だったのか。冒頭に出てくる真っ白な部屋でインタビューを受けるシーンを見ると、成功はしているみたいだけど、どこか寂しそうな表情だった気がする。

でも結局のところ、『さよならだけが人生だ』という名言の通り、今は空っぽになってしまったけど、そこからしか新たに進めないんだよね。ジーンのこれからが、意味のあるモノが厳選されていくと良いなぁと思いました。

ナワポン・タムロンラタナリット監督の作品、素晴らしかったです。他の映画も観たいな〜。もっと手軽に各国の映画が見られるようになったいいなと改めて思いました。