映画『ミセス・ノイズィ』感想

画像引用元:©「ミセス・ノイズィ」製作委員会

当初、5月頃公開予定で楽しみにしていたのに、コロナで延期になってしまった『ミセス・ノイズィ』が、ついに12月4日公開しました!期待以上にめっちゃ面白かったのですが、上映劇場数が少なく、2週間くらいしかない上映してない劇場がほとんどなんですよ…。

この映画、なんの先入観もなく観に行った方が絶対楽しめるので、まだ『ミセス・ノイズィ』を観てない方は、ブログを読むのをやめて今すぐ劇場へ。

じゃあブログ書かなくても…って感じですが(笑)、話が面白いだけでなく、色々と感想を書きたくなっちゃう映画なんですよ。なので、ぜひ、映画を観てから、感想を読みに戻って来ていただけたら大変嬉しいです。笑

作品情報

ミセス・ノイズィ

上映時間:106分
公開:2020年
監督&脚本:天野 千尋
キャスト:
吉岡真紀 役(篠原 ゆき子)
若田美和子 役(大高 洋子)
吉岡菜子 役(新津 ちせ)
吉岡裕一 役(長尾 卓磨)
若田茂夫 役(宮崎 太一)
多田直哉 役(米本 来輝)

映画『ミセス・ノイズィ』あらすじ

郊外のアパートへ引っ越して来た吉岡家。妻の真紀は小説家で在宅ワークをしており、引っ越しの当日から締め切りに追われていた。翌朝、お隣のベランダからものすごい騒音がして…

映画『ミセス・ノイズィ』キャスト・登場人物

吉岡真紀 役(篠原 ゆき子)

6歳の娘を持つ小説家 かつて賞を受賞したこともある名の知れた作家だが、現在はスランプ続き。郊外のアパートに引っ越して、ワンオペ育児に追われながら、チャンスにすがって執筆している。

色々と物語の主人公っぽくない真紀さんを、絶妙に演じられてる篠原ゆき子さんがすごかったです!笑

若田美和子 役(大高 洋子)

吉岡家のお隣さん 早朝からものすごい力で布団叩きをしている騒音おばさん。

強烈なキャラクターを演じるのは大高洋子さん。すんごいハマってました!!大高さん無くしてミセス・ノイズィは成り立たない!と言っても過言ではない!でも、柴田理恵さんが『ミセス・ノイズィ』を観て、「若田さんを演じたかった!」とラジオでおっしゃっていて、そっちもめちゃくちゃ面白そうだなぁと妄想するだけでワクワクしました。笑

吉岡菜子 役(新津 ちせ)

真紀の娘・なっちゃん 6歳で遊びたい盛り。忙しいママの目を盗んで外へ出てしまう。

吉岡裕一 役(長尾 卓磨)

真紀の旦那 音楽関係の仕事をしているらしく、育児は在宅ワークできる真紀に任せっきり。

多田直哉 役(米本 来輝)

真紀のいとこ 何か一山当てたい願望がある若者。

映画『ミセス・ノイズィ』の評価
ストーリー
(4.5)
映像
(3.0)
ファッション
(2.0)
音楽
(3.0)
満足度
(4.0)

ここからは『ミセス・ノイズィ』の核心には迫らない程度のネタバレを含んでおりますので、まだ鑑賞されてない方はご注意ください。

映画『ミセス・ノイズィ』ネタバレあり感想

コロナによって公開が延期となってしまった『ミセス・ノイズィ』が、SNS炎上問題が、タイムリーに騒がれている今、上映されているのは、なんの因果なのか…。このご時世になって、在宅ワークをされる方も急に増えたので、近隣だけでなく、自分の家ですらや、生活習慣の違いに悩まれてる方は多いのでは?

物語序盤、『82年生まれ、キム・ジヨン』っぽい話かな?なんて、一瞬思ったのが間違いでした。笑

真紀はワンオペ育児に疲弊しながらも、スランプから抜け出すために仕事を頑張っている。という一面だけ見れば立派な母親なんだけど、遊びたい盛りの6歳の娘・なっちゃんが家を飛び出してしまっても気づきもしない。

そんな真紀のお隣に住む、若田の奥さんは、朝からものすごい勢いで布団を叩き、真紀がやめて欲しいと言っても毎日騒音被害を繰り返す。家から抜け出したなっちゃんを、真紀に挨拶せず公園へ連れてったり、勝手に家に連れ込む。

子供をほったらかしにして気づきもしない母親 VS おせっかい!?騒音おばさん!? の常識バトルが今、始まる!!……と、いうところまではまぁまだ想定の範囲内なんですが、そこから物語はどんどん思わぬ嫌な方向へ進んでしまうのは観ていてしんどかったし、お話としてはめちゃくちゃ面白くて引き込まれました。

真紀は映画の登場人物だから過剰にやり返すところがめっちゃ面白かったけど、知りもしない隣人を多面的に見るなんて、神の視点じゃない限りは不可能に等しい。

例えば私の友達が真紀と同じことをされていて、その子が子供をほったらかしてたことを私に言わなかったとしたら、普通に友達の味方をしてるだろうし、若田さんの家の事情なんて知る由もなく、一緒になって悪口を言っているかも知れない。

映画の中でも動画がバズって大炎上しちゃうけど、1つの面だけ見て放った一言が、大勢の共通認識になって炎上していくって、本当に恐ろしい時代になったなぁと改めて感じました。

私が特に好きだったシーンが、キャバ嬢の女の子が、『水沢玲(真紀の作家としてのペンネーム)は、昔面白かったけど、今は面白くなくなったよね』と、一見ネガティヴなことを言うんだけど、現在の作品もちゃんと目を通していて、きちんと知った上で、自分とは合わないと意見を言うところでした。

批判することと、否定することは全然違う。自分と合わないもの全てを受け入れる必要はないけど、知りもしないものを拒絶するのは違う。という強いメッセージを感じました。

水商売=チャラいみたいな偏見も沢山あると思うけど、事情があって働いてる方も沢山いる。そういう一面を知っただけではわからないことをメインキャラクター以外でも表現しているところが『ミセス・ノイズィ』の素敵なところだと思いました。

終盤の若田の奥さんの行動は、どんなことがあっても、自分が正しいと思う行動をして来た若田さんらしくて、ホロリと来てしまいました。

エンディングもよかったよかった。と言う感じなんだけど、1つだけどうしても許せないところがある。

旦那である。

え?なんなの?あなた他人なの!?!?と思ってしまった…。そもそも働いているという条件は同じなのに、家ではできない仕事だからって家にいる真紀に全部押し付けてるけど、悪いとすら感じてない。真紀が過剰すぎるところは言うまでもないんだけど、一緒に解決する気も感じられないのに、一方的に真紀が旦那に謝るのは違う気がした。

まぁこれも、私は映画にチラっと出てくるだけの旦那の姿を観て、勝手に否定してるやつなので、この辺でやめておきましょう。笑

パラサイトのような、考えさせられるのに、笑える面白さを兼ね備えた、とても面白い映画が観れて大満足でした!天野千尋監督の次回作が公開されたら真っ先に観に行きたいと思います!